今回はこのような悩みにお答えします。
固定資産税を滞納するとどうなる?
固定資産税は、納税通知書に記載された納付期限を過ぎると延滞金が発生します。
延滞金の計算は、納付期限後1か月を経過する日までは年2.4%(特例)ですが、その後の期間については年8.7%となっています。(上記延滞金の割合については、令和4年1月1日以後の期間に適用)
また、役所から督促通知書が届くほか、督促にかかる手数料も発生してしまうことに注意が必要です。
次に、滞納が続いた場合の滞納処分の手続きについて解説していきます。
滞納処分とは
滞納処分は、税金を滞納している人(滞納者)の意思に関わりなく、滞納になっている税金を強制的に徴収するため、その人の財産を差し押さえ換価し、滞納になっている税金に充てて完納させる一連の手続を言います。
そして、固定資産税を含めた地方税の滞納処分については、国税徴収法に規定する滞納処分の例によっています。
具体的な流れは、以下のとおりです。
ポイント
①督促
納期限までに納付しない場合、督促状を送付し、納めるよう督促します。
②催告
督促してもなお納めない場合、催告状を送付して納めるよう催告します。
③財産調査及び捜索
それでも納付がない場合は、滞納者の財産(預貯金・給与・不動産等)を発見するために、官公署・金融機関・勤務先・取引先など、滞納者の財産を占有する第三者等に対し調査を行います。
また、財産の発見、差し押さえなどの必要がある場合、滞納者やその関係者の住居を、相手方の意思に関係なく強制的に捜索することができます。
※これらの調査や捜索は、法律の規定に基づき、滞納者に事前に了解を得ずに行うことができます。(国税徴収法第141条、第142条~第147条)
④差押え
財産調査で発見された、滞納者の財産に対する差し押さえを行います。
差し押さえを行った場合、滞納者やその利害関係者(会社、金融機関、不動産の抵当権者など)に「差押通知書」を送付します。
※なお、法律では「督促状を発した日から起算して、10日を経過した日までに完納しないときは、財産を差し押さえなければならない」となっています。
注意ポイント
給与が差し押さえられた場合は、勤務先へ「差押通知書」が送付されますので、会社から滞納のことを問い質されたりして、精神的苦痛を受けるおそれがあります。
また、不動産が差し押さえられた場合も、不動産登記簿に差押登記がされるので注意が必要です。不動産を売却したくても、差押登記によって売却できず、他の債務返済や資金繰りに支障が出るからです。
固定資産税は、物件を所有しているかぎり課税されるため、差し押さえを受けながら、ちまちま滞納分を返済していると、次年度の固定資産税の納税義務を負うことにもなりかねません。
こうなると、半永久的に固定資産税を払う羽目になって、まさに税金貧乏と化してしまうのでかなり注意した方がよいでしょう。
滞納する前に早めにできる対策はあるの?
このように固定資産税はいったん滞納してしまうと、差し押さえによって身動きができなくなるなど家計がかなり危機的になります。
そこで、現役FPのkotetsuがおすすめするのが、下記の2つの対策です。
住宅ローンの借り換え
固定資産税の滞納を防ぐためには、マイホームを売却することがベストです。
ただ、せっかく苦労して手に入れ、思い出の詰まったマイホームを、簡単に売却するなんて、なかなか決断できないはず。
そんなときは、まずはマイホームの売却よりも、住宅ローンの借り換えを検討してみましょう。
一般的に、住宅ローンの借り換え対象となる条件は「住宅ローン残高1,000万円以上、金利差1%、返済残年数10年以上」と言われています。
ちなみに、これまで日本はかなり低金利に抑えられてきましたが、2022年になって世界的なインフレと金利引き上げが日本にも影響を及ぼしつつあります。
すでに、メガバンクが住宅ローン金利を引き上げ始めたので、借り換えをするなら早めに行動した方が良さそうです。
所有物件の任意売却
住宅ローンの借り換えもして、それでも家計が改善せず、住宅ローンや固定資産税の支払がいよいよ危なくなってきたら・・・。
そのときは、納税猶予や分納といった方法ではなく、物件の早期売却を決断しましょう。
マイホームは任意売却を急げば、ある程度の生活資金を残した上で、マイホームの売却資金を住宅ローンの繰り上げ返済に充てることができます。
こうすることで、後々の支払金利を節約することもできるほか、固定資産税の税負担も回避することができます。
マイホームは、時間の経過とともに、売却価格は下がっていきますので、任意売却を検討している方は、早めに行動に移しましょう。
まとめ
固定資産税を滞納すると延滞金が発生するほか、放置しておくと滞納処分の手続きが進んでいきます。
給与の差し押さえによって精神的な苦痛を受けたり、不動産が自由に売買できなくなるなど、家計が危機的な状況に陥ります。
家計が苦しくなってきた場合は、住宅ローンの借り換えや物件の売却なども積極的に考えていきましょう。